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作り方今月俳句│歳時記 @ A B C D E F G H I J K│過去log@ A B C D|

7月の作成句
「草原に一つ伸び出る百合の花」
「月見草何も言わずの帰り道」
「梅雨明けや今朝の天気は気分良し」
「夜風やみ蛙喧(やかま)し青田かな」
「見上げれば高層ビルに雲の峰」
「白雨や皆逃げ惑うアスファルト」
「駆け込みの電車に乗るや扇ふる」
「足早に歩く姿の日傘かな」
「金亀子台風一過葉の裏に」
「山のある秘密の場所や兜蟲」
「今回で二度する馬鹿の富士詣」
<葛飾柴又の帝釈天通りにて>
「数人で柴又歩く浴衣かな」
「端居してビールを一杯あゝうまい」
「ふらふらと橋のたもとや夏の月」
「胡瓜もぐ手にとげ痛し軍手する」
「寅さんを見ての帰りの夏氷」
「土用の日今朝は晴れかな鶏が鳴く」
「ふるちんで子供等川に遊びけり」
「早過ぎる一週間や夏休み」
「夏痩や食べても寝てもままならず」
「川開き鍵屋玉屋の見せ所」
「夏痩せやベルトの穴を一つ詰め」
「睡蓮の葉の下にゐる緋鯉かな」
「風もなく方袖まくる蝉時雨」
「不忍の池にこぼれる蓮の花」
<隅田川花火大会>
「湧き上るどよめき拍手川開き」
「箸さして仏に供ふ茄子の馬」
「向日葵の大きく育ち倒れるな」
「百日紅青い背景よく似合う」
「病葉の一葉目立ちて取りにけり」


今月の投稿句
「もの憂げに焼き海苔しめる梅雨深し」FRANK
「夏の月 汗を拭くように いでにけり」kazu
「もてなしの 冷えたる甘酒 ごくり飲み」kazu


7月の選句結果

kazu選
  草原に一つ伸び出る百合の花
 ○白雨や皆逃げ惑うアスファルト
  足早に歩く姿の日傘かな 
  風もなく方袖まくる蝉時雨
  もの憂げに焼き海苔しめる梅雨深し

 <選句によせて>
 ・「草原に・・・」草原のなかに、ぽつん
 ではなく、きょとんと伸び出た百合の花。
 妙に百合に存在感を感じます。
 ・「白雨・・・」こちらは、夕立は梅雨明
 け以来一度あったきりです。テレビで見る
 ヒートアイランド東京の夕立の様子を、思
 い浮かべました。<白雨>と<逃げ惑う>
 の組み合わせで、句に勢いを感じ○をいただ
 きました。
 ・「足早に・・・」絵になる句であると思
 います。しかも、日傘の中の人の顔は見えず、
 後姿と影そして、夏の強い日差しの印象です。
 これもね作者が写生に徹しているからでしょう。
 ・「風もなく・・・」風もなく、蝉時雨で暑さ
 が倍増する中、暑さから逃れるためか方袖をま
 くる。何気ない動きを捉えていると思いました。
 ・「もの憂げ・・・」<もの憂げ>で始まり<
 梅雨深し>で結ぶ。これだと重く感じるのです
 が、<焼き海苔しめる>で軽妙な流れに転じて  
 いるところが、この句の面白さだと思いました。


よっち選
「もの憂げに焼き海苔しめる梅雨深し」FRANK
「夏の月 汗を拭くように いでにけり」kazu
○「もてなしの 冷えたる甘酒 ごくり飲み」kazu

・「焼苔しめる」がいかにも梅雨時らしく、視点の
面白さがあります。
・夏の月ですが、たぶん日中が暑い日で、その
まま夜になっても風もなく暑い空気が続いている。
そんな夏の月が想像されます。月は三日月という
より、半分の月から満月の月でしょう。
・甘酒は、大変滋養があり、総合栄養食品とのこと。
夏ばてで体が衰弱しかかっているところに、この
甘酒を飲んで、健康回復の経過が「ごくり」の力強
い言葉に表現されているように感じます。
また、暑い夏と冷たい甘酒の対比もいいですね。


8月の作成句

「外堀の青粉の上のトンボかな」
「アスファルト・ジャングルに鳴く蝉多し」
「時期来ればトンボも飛ぶし来る秋ぞ」
「路上には槐(えんじゅ)の花の粉砂糖」
「くさめする今日も日が照る今朝の秋」
「七夕やカレイライスを食しゐる」
「天空の数ある星や二つ星」
「中元やみやげ話も添えて行く」
「生御魂共に仲良くお元気で」
「病葉のやけに赤く目立ちけり」
「汗拭きの電車の床に落ちしまゝ」
「ハンカチで汗をふきふき電車乗る」
「花火背に帰る道には音ばかり」
「読経と線香流る施餓鬼かな」
「じいちゃんやばあちゃんあいに盆まつり」
「汽車乗つて越後新発田に墓参り」
「日傘からこぼれる笑顔盗見し」
「外気温三十七度や百日紅」
「向日葵のそろそろ終わりか頭垂れ」
「兄弟の集う夕餉や盆参り」
「青い穂や休暇も終わり電車乗る」
「松島の牡蠣田を写す水面かな」
「朝焼や黄金の海と松の島」
「野分来る風雨の中の週始め」
「かなかなの没我を誘う音に入る」
「杜を経て風に乗る声法師蝉」
「絵葉書に残暑見舞いと書いてあり」
「新涼や一枚羽織る女を見る」
「おしろいの花を残して草を刈り」
「朝顔のやや自己主張あるのかな」
「ささげ煮て糯米を蒸し祝いとす」
「口ずさむ小さい秋にあかまんま」
「蓼の花こんな花火があつたよな」
「今朝の雨油注ぐよな赤カンナ」
「一村の奄美の景色芭蕉かな」
「朝顔のつぼみを捻る小人かな」
「魔法かけ南瓜を馬車へお骨折り」
「ままごとの夫婦茶碗とあかまんま」
「野の原に容姿際立つ秋桜」
「秋の虫ここにいるぞと鳴きにけり」
「秋茄子の嫁に食はすな俺が食ふ」
「田の中で鳥らと遊ぶ案山子かな」
「犬連れて歩く二人や稲の花」
「稲の花ここまでの出来まんずまず」
「不知火を神の加護とて意気高に」

今月の投稿句
kazuさんの投句
 大木に なりてそびえし 百日紅
 縁側で かすかに揺れる 風鈴かな
 雷鳴の とどろきし夏 雨恋し
 この夏も 節水呼びかけ 広報車
 ニュースにて 必ず気になる 貯水率
 蝉捕らえ いとおしそうに なでてる子
 ジャズ聞きて 海を眺めつ アイスコーヒー
 ひとしきり 近況報告 盆帰省
 街中で ことばを競うや 「俳句甲子園」
  ※今年で四回目となった「俳句甲子園」。
  全国から高校生が、自分たちの五・七・五
  を持ちよって作句の披露と、ディベートを
  やります。今年は、街のど真ん中で若いこ
  とばと情熱が飛び交っていました。

 青空に 背伸びをするや ひまわり咲き
 ゆらめきし 真夏の路面に 坊ちゃん列車
 夏休み 父と子供の お遍路さん
 大樹の下 おせったい受くるは 夏遍路

8月の選句結果

 kazu選
   <よっちさんの句より、五句を>
   路上には槐(えんじゅ)の花の粉砂糖
   日傘からこぼれる笑顔盗見し
   かなかなの没我を誘う音に入る
   ままごとの夫婦茶碗とあかまんま
 ○ 稲の花ここまでの出来まんずまず

〜 選句によせて 〜
・ 「路上には・・・」槐の黄白色の小さな花。あまり目立た
ない存在ですが、粉砂糖と表現することで、一気に華やか
な印象を与える句になっていると思います。ことばのマジッ
クといっても、過言ではないでしょう。
・ 「日傘から・・・」人は、全てが見えているよりも、少し見
えるだけの方になにかしら興味を惹かれます。眩しい夏の
日差しに反射して、日傘から口元の笑みだけが見えていた
としたら・・・それは、見るなといわれても、見たくなりますね。
しかも、見ていることを悟られないように、ちらりと。
そのような、心の動きを想像する句であると思います。
・ 「かなかなの・・・」蜩(かなかな)の静かな鳴き声に、自ら
を静かに沈めやがて、無我の境地に・・・そのようなことをふ
と思う句でした。<没我に入る>ではなく、<没我に誘う>
と表現したところが、この句に切迫感ではなく余裕をもたら
していると思いました。
・ 「ままごとの・・・」子供の頃の、ままごと遊びにあかまん
まを使っていたことを、ふと思い出しました。夫婦茶碗の寄
り添うような温かさと、あかまんまの素朴さ。そして、子供の
遊びであるままごと。絶妙なバランスで、句が仕上がってい
ると思いました。
・ 「稲の花・・・」稲の花の咲く頃に、台風や長雨が続くと、収
穫に大打撃を受けてしまいます。作物という<命>を育てて
いる方にとっては、<ここまでの出来>を<まんずまず>と
思う一方で、収穫のその時までこころ休まらないことと思い
ます。<まんずまず>のことばには、これで満足というの
ではなく、これからも丈夫に無事に育っておくれという、強い
願いが込められていると感じました。句の中に方言を遣うと、
飾らない心情が充分に読み手に伝わってきます。

よっち選
 「この夏も 節水呼びかけ 広報車」kazu
 「蝉捕らえ いとおしそうに なでてる子」kazu
○「ジャズ聞きて 海を眺めつ アイスコーヒー」kazu
 「ひとしきり 近況報告 盆帰省」kazu
 「大樹の下 おせったい受くるは 夏遍路」kazu
四国に帰ったことを詩っていますが、郷にいてゆったりと
した心情が全ての句に表れていたようです。また四国の
水不足も大変ですね。
・ジャズの句ですが、そんなゆったり感が特に感じられ
○で頂きました。
・大樹の日影が一番のおせったい!ほっとします。
・蝉捕らえの句ですが、ちょっと怖くて良いです。
9月の作成句
「おわら節二百十日の風の盆」
「台風や停電暗し南無阿弥陀」
「秋の夜のキー叩く音チャットかな」
「草叢の虫が鳴きゐる千草かな」
「金田一温泉捜す芒かな」
「金田一温泉どこに枯尾花」
「一年の前の瓦礫や桔梗咲く」
「縄文の遺跡の跡や葛の花」
「一陣の風舞いたるや萩の花」
「アスファルトの雑草にも朝の露」
「蟲の音や我が身にすがる捨子猫」
「ちゝろ蟲今日の雨にも鳴きにけり」
<新発田の菊水ふなぐちを買いに走る>
「待宵や故郷の酒買いに行く」
「拉致されし異国の空や秋の月」
「名月や猫が傍で欠伸する」
「まず一献芋名月や恵比須顔」
「お地蔵にお供花や曼珠提沙花」
「雑司ヶ谷宣教跡やこぼれ萩」
「手入人なき墓もあり秋彼岸」
「近くにて聞こえる音は霧笛かな」
「とんぼのめにかいまわしてにげられた」
「秋の蝿また明日あるさ頑張れよ」
「木犀の香を漂う小路奥」
「食卓は他にいないが鰯あり」
「コスモスや今日は雨降り外ながめ」
「唐黍を茹でてあるなり里の家」
「山間に広がる畑蕎麦の花」
「神仏わたしゃ貴方の蕎麦の花」
「秋の蚊や久々に聞く闇の音」

今月の投稿句
「雨音の 途絶えわき立つ 虫の声」すみ
「もろこしの焼くる匂いの我が家かな」筑前
「荒れた土地 生い茂る葉の中 葛のはな」kazu
「あぜ道に 深紅(あか)の行列 彼岸花」kazu
「草刈の ひと群れ残せし ひがんばな」kazu
「天からの 光の帯びや 立待月」kazu
「煌々と 現世(うつしよ)照らす 秋の月」kazu
「月夜には 虫の音も 済んでおり」kazu
「表に出で 深呼吸一つ 月光浴」kazu
「白金(プラチナ)の 光につつまれ 床につく」kazu
  ※煌々と降り注ぐ月の光を感じていましたら、
  <白>というよりももっと硬質な色を感じま
  した。まるで、プラチナのようだと・・・

9月の選句結果

kazu選
   雨音の 途絶えわき立つ 虫の声  すみ
 ○ もろこしの 焼くる匂いの 我が家かな  筑前
   まず一献 芋名月や 恵比須顔  よっち
   雑司が谷 宣教師跡や こぼれ萩 よっち
   蟲の音や 我が身にすがる 捨子猫 よっち

  〜選句によせて〜
  ・「雨音の・・・」雨が上がり一斉に鳴き始める虫たち。
  その鳴き声を、<わき立つ>と表現したところに、
  作者の感覚の妙を感じます。
  ・「もろこしの・・・」あたたかで、ほっとする句です。
  <の>が二度遣われているからか、とても柔らかで
  角の無い印象が残ります。
  ・「まず一献・・・」月を愛でるのか、口実に飲むのか
  それはさておき。<芋名月>と<恵比須顔>に、
  読んでいる側もいつのもにか、恵比須顔です。
  ・「雑司が谷・・・」<宣教師跡>と<こぼれ萩>に、
  過ぎ去りし遠い時間の感慨に、浸ってしまいそうです。
  ところで、最近のこと。よそのお宅の垣根から、萩が
  流れるようにして咲いていたのに風情を感じたのです
  が、なんと表現してよいのか悩んでいました。<こぼ
  れ萩>が、びったりだと解りました。
  ・「蟲の音や・・・」大きな存在にすがりたくなる、捨子
  猫の境遇と、郷愁を覚える季節がうまく詠まれている
  と思います。


よっち選
○「雨音の 途絶えわき立つ 虫の声」すみ
 「もろこしの焼くる匂いの我が家かな」筑前
 「草刈の ひと群れ残せし ひがんばな」kazu
 「煌々と 現世(うつしよ)照らす 秋の月」kazu
 「白金(プラチナ)の 光につつまれ 床につく」kazu

・この時期、虫の鳴き声も元気です。雨の中でも
鳴いている虫がおるほどで、雨がやむと、なお一
層、一斉に鳴きはじめます。○でいただきました。
・もろこしの焼くほのぼのとした情景の我が家は、
いいですね。
・彼岸花の咲く期間は一週間ほどでしょうか。終
りの時期になると花が崩れてしまいます。この妖
艶な時期を愛でて、彼岸花のひと群れを残した草
刈した心が良く表れていると思います。
・秋の澄んだ月の光は、人間の奥深くまで見通し
てしまいそうです。ほんとうにそうですね。
・月の光の澄んだ色を、プラチナと表現されました。
この光に包まれて、何を夢見るのでしょうか。



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